- 2019-5-10
- オプション
要約とまとめ
繰り返してプットオプションを売ることで繰り返し収入を得ることが出来ます。大事なポイント: 銘柄は持ってもいいと思う株式のプットオプションを選び、権利行使価格が株価に近く、期限日まで10週前後のプットオプションを、株価が買ってもいいと思う水準まで下がっている時に売ることです。
目次
- はじめに
- プットオプション とは
- プットオプションの買い手
- プットオプションの売り手
- プットオプションを売る時の大事なポイント
- プットオプション売りの実体験
- 異なる銘柄と期限のプットオプションを売る
- オプションについて
1.はじめに
オプションはリスクがたいへん高いので資産運用に用いるべきではない、とよく言われています。また、オプションを使っている個人投資家さんの多くはオプションを買う側に専らまわっています。オプションを売ることはほぼ度外視されています。
オプションを適切に売ることで、繰り返し収入を得ることができます。が、この手法は一般的に知られていないようです。稚拙な文章しか書けませんが、株式のプットオプションを売る手法についての紹介をここに試みます。
この記事には、オプション投資の実体験についても記してあります。私の場合、
米国のファーストレード証券に口座を作って、米国市場でオプション投資と株式投資をしています。ファーストレード証券の口座開設の方法はこちらに記してありますので、ぜひご閲覧ください。
2.プットオプション とは
株式のプットオプションは、“ あらかじめ決めた期限日に、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で、株式を売ることができる権利 ”、のことです。
3.プットオプションの買い手
株式のプットオプションの買い手は代金(オプション価格)を支払って、株式を売ることができる権利(期限日に、権利行使価格で株式を売ることができる権利)を買います。
別の言い方をすれば、
株式のプットオプションを買った人には権利があります。その権利とは、“ あらかじめ決まっめた期限日に、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で、株式を売ることができる権利 ” です。
株式のプットオプションの買い手は、その株式の株価が下がることに賭けています。
なぜなら、株式のプットオプションの買い手が持っている権利は、期限日の株価が権利行使価格よりも安い場合にだけ使える権利だからです。
また、株価が下がることが株式のプットオプションの価格が上がる要因のひとつだからです。
株式のプットオプションについてのイメージですが、ここではとりあえず、株価が下がると株式のプットオプションの価格は大きく上がる、逆もまた同様、そういうものだ、とイメージしておいてください。
4.プットオプションの売り手
一方、株式のプットオプションの売り手は、株式のプットオプションの買い手が支払った代金(オプション価格)を直ぐに受け取れます。その代わりに、株式のプットオプションの買い手が権利を使って株式を売ると決断した場合には、株式のプットオプションの売り手はその株式を買い取らなければいけません。
別の言い方をすると、
株式のプットオプションの売り手は、株式のプットオプションの買い手が権利を使う場合は、あらかじめ決めた期限日に、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で株式の売却に応じる義務を負います。つまり、その株式が株式市場でどんなに安くなっていたとしても、仮にほとんど $ 0 (零ドル) になっていたとしても、プットオプションの買い手からその株式をあらかじめ決めた $ 0 よりずっと高い価格(権利行使価格)で買い取らなければなりません。
株式のプットオプションの売り手は、期限日に株価が権利行使価格よりも高くなっていることを期待しています。なぜなら、期限日に株価が権利行使価格より高い場合、株式を買い取る義務が消滅するからです。それと同時に、プットオプションの買い手側では株式を売ることができる権利が無くなります。権利が無くなることは、すなわち、プットオプションの価値が 0 ( ゼロ )になるということです。
期限日の株価が権利行使価格より高い場合 、結果として、株式のプットオプションの売り手は始めに株式のプットオプションの代金を受け取り、その後は何もしなくて済むことになります。つまりこの場合、初めに受け取った株式のプットオプションの代金が儲けとなります。
5.プットオプションを売る時の大事なポイント
この記事では “プットオプションの売り” で繰り返し収入を得るという魅力をお伝えしているのですが、“プットオプションの売り” を有効に使うための大事なポイントがあります。
【大事なポイント】
大事なポイントは、銘柄は買ってもいいと思う株式のプットオプションを選び、権利行使価格が株価に近く、期限日まで10週前後のプットオプションを、株価が買ってもいいと思う水準まで下がっている時に売ることです。
株式のプットオプションを売ったら、株式を買い取ることもあり得ます。だから、買いたくない株式のプットオプションを売ってはいけません。買ってもいいと思う株式のプットオプションを選びます。
オプションの時間的価値は、期限日の10週ぐらい前から期限日にかけて最も急激に減っていき、 0 ( ゼロ )に近づいていきます。オプションの買い手にとっては最も不利になる期間です。逆に、この期間は、オプションの売り手にとって最も有利な期間です。
株式のプットオプション売って収入を繰り返し得るためには、期限日に株式を買い取る義務が無くなる(株式のプットオプションの価格が 0 ( ゼロ )になる)展開が理想的です。つまり、期限日の株価が権利行使価格より高くなることが理想です。それには、株価が安い時にその株式のプットオプションを売る、ということが大事です。
6.プットオプション売りの実体験
株式のプットオプションの売りについて、実体験を紹介します。私の場合、米国のファーストレード証券に口座を作って、米国市場でオプション投資と株式投資をしています。ファーストレード証券の口座開設の方法はこちらに記してありますので、ぜひご閲覧ください。
HSYプット売り 年率24%
- HSY( Hershey )
- ハーシーのプットオプション
- 権利行使価格 : $ 105.00
- 期限日 : 2019年2月15日
- プットオプションを売った日 : 2019年1月9日(期限日まで38日)
- 売った時のプットオプション価格 : $ 2.70
- 売ったプットオプションの数 : 2 コントラクト(売り代金収入 $ 540 )
- (買い手が売る権利を使うことになったら 200株を買い取る義務を負う )
- 用意しておくべき現金 : $ 21,000 ( 200株×権利行使価格 $105 )( 約231 万円)
- プットオプションを売った日の HSY 株価 : $ 105.69
- 期限日のプットオプション価格 : $ 0.00
- 期限日の HSY 株価 : 109.35
2019年1月9日 にハーシーのプットオプションを売って、$ 540 の収入を得ました。権利行使価格は $ 105.00 でした。その日のハーシー株の終値は $ 105.69。その後、株価は権利行使価格 $ 105.00 以下で推移する期間がありましたが、数日後には株価が上昇し始め、期限日の2019年2月15日の終値は $ 109.35 。期限日の終値($109.35)が権利行使価格($105.00)より高かったので、 プットオプションの売り手が負う義務(プットオプションの買い手が株式を売る権利を使う際に、その相手となって株式を買い取る義務)がなくなりました。
この投資では、$ 540 の儲けという結果となりますた。
用意しておくべき金額 $ 21,000 を投資原本の様に考え、38日間で $ 540 儲けたとして計算すると、このプットオプションの売りは年率24%(単利)の投資だったことになります。
CREEプット売り 年率49%
- CREE( Cree )
- クリーのプットオプション
- 権利行使価格 : $ 48.00
- 期限日 : 2019年3月15日
- プットオプションを売った日 : 2019年1月29日 (期限日まで46日)
- 売った時のプットオプション価格 : $ 3.00
- 売ったプットオプションの数 : 2 コントラクト(売り代金収入 $ 600 )
- (買い手が売る権利を使うことになったら 200株を買い取る義務を負う )
- 用意しておくべき現金 : $ 9,600 ( 200株×権利行使価格 $48 )( 約106 万円)
- プットオプションを売った日の CREE 株価 : $ 48.03
- 期限日のプットオプション価格 : $ 0.00
- 期限日の CREE 株価 : $ 56.87
2019年1月29日 にクリーのプットオプションを売って、$ 600 の収入を得ました。権利行使価格は $ 48.00 でした。その日のクリー株の終値は $ 48.03。その後、株価はおおむね順調に上昇し、期限日の2019年3月15日の終値は $ 56.87 。期限日の終値($56.87)が権利行使価格($48.00)より高かったので、プットオプションの売り手が負う義務(プットオプションの買い手が株式を売る権利を使う際に、その相手となって株式を買い取る義務)がなくなりました。
この投資では、$ 600 の儲けという結果となりました。
用意しておくべき金額 $ 9,600 を投資原本の様に考え、46日間で $ 600 儲けたとして計算すると、このプットオプションの売りは年率49%(単利)の投資だったことになります。
CLRプット売り 年率54%
- CLR( Continental Resources )
- コンチネンタル・リソーシズのプットオプション
- 権利行使価格 : $ 45.00
- 期限日 : 2019年4月18日
- プットオプションを売った日 : 2019年3月5日 (期限日まで45日)
- 売った時のプットオプション価格 : $ 3.00
- 売ったプットオプションの数 : 1 コントラクト(売り代金収入 $ 300 )
- (買い手が売る権利を使うことになったら 100株を買い取る義務を負う )
- 用意しておくべき現金 : $ 4,500 ( 100株×権利行使価格 $45 )( 約50 万円)
- プットオプションを売った日の CLR 株価 : $ 43.83
- 期限日のプットオプション価格 : $ 0.00
- 期限日の CLR 株価 : $ 49.85
2019年3月5日 にコンチネンタル・リソーシズのプットオプションを売って、$300 の収入を得ました。権利行使価格は $ 45.00 でした。その日のコンチネンタル・リソーシズ 株の終値は $ 43.83。その後、株価は権利行使価格($45.00)以下で推移する期間がありましたが、数日後には株価が上昇し始め、 期限日の2019年4月18日の終値は $ 49.85 。期限日の終値($49.85)が権利行使価格($45.00)より高かったので、プットオプションの売り手が負う義務(プットオプションの買い手が株式を売る権利を使う際に、その相手となって株式を買い取る義務)がなくなりました。
この投資では、$ 300 の儲けという結果となりました。
用意しておくべき金額 $ 4,500 を投資原本の様に考え、45日間で $ 300 儲けたとして計算すると、このプットオプションの売りは年率54%(単利)の投資だったことになります。
TWTRプット売り 年率53%になりそう
- TWTR( Twitter )
- ツイッターのプットオプション
- 権利行使価格 : $ 33.00
- 期限日 : 2019年5月17日
- プットオプションを売った日 : 2019年4月2日 (期限日まで46日)
- 売った時のプットオプション価格 : $ 2.21
- 売ったプットオプションの数 : 2 コントラクト(売り収入 $ 442 )
- (買い手が売る権利を使うことになったら 200株を買い取る義務を負う )
- 用意しておくべき現金 : $ 6,600 ( 200株×権利行使価格 $33 )( 約73 万円)
- プットオプションを売った日の TWTR 株価 : $ 33.75
- 期限日のプットオプション価格 : $ 0.00
- 期限日の TWTR 株価 : $ ? ( $38.79 ; 2019年5月9日)
2019年4月2日 にツイッターのプットオプションを売って、$ 442 の収入を得ました。権利行使価格は $ 33.00 でした。その日のツイッター株の終値は $ 33.75 。その後、株価はおおむね順調に上昇し、2019年5月9日の取引を終え、終値は$38.79でした。 期限日の2019年5月17日まであと6営業日を残すだけとなりました。よほどのことがない限り期限日5月17日にツイッターの株価は権利行使価格 $ 33 以下にはなりません。期限日5月17日の終値が権利行使価格($33.00)より高かった場合は、プットオプションの売り手が負う義務(プットオプションの買い手が株式を売る権利を使う際に、その相手となって株式を買い取る義務)がなくなります。
もしそうなった場合は、この投資では、$ 442 の儲けという結果となります。
用意しておくべき金額 $ 6,600 を投資原本の様に考え、46日間で $ 442 儲けたとして計算すると、このプットオプションの売りは年率53%(単利)の投資だったという結果になりそうです(2019年5月10日 現在)。
6.1 TWTRプット売り の結果
2019年5月21日現在、すでに上記ツイッターのプット売りの投資成果が確定しています。確定した成果については、儲かる資産運用:繰り返し収入を生むオプション投資 ; 結果①年率53%(ツイッターTWTR,期限日05/17, 権利行使価格$33.00,プットオプション,の売り)に記しました。
私の場合、米国のファーストレード証券に口座を作って、米国市場でオプション投資と株式投資をしています。ファーストレード証券の口座開設の方法はこちらに記してありますので、ぜひご閲覧ください。
7.異なる銘柄と期限のプットオプションを売る
上に記した実体験のように、異なる銘柄と期限日のプットオプションを連続して売ると、収入を繰り返し得ることが出来ます。
2019年1月9日に、HSYのプットオプションで $ 540 の収入(年率24%(単利))。
2019年1月29日に、CREEのプットオプションで $ 600 の収入(年率49%(単利))。
2019年3月5日に、CLRのプットオプションで $ 300 の収入(年率54%(単利))。
そして、2019年5月17日期限日のツイッターのプットオプションで、2019年4月2日に $ 442 の収入を得ました。よほどのことがない限り、期限日5月17日にはプットオプションの売り手の義務から解放されます。$ 442 の収入を得て、それであとは何もしなく済む(ツイッター株を200株買い取らなくて済む)可能性が非常に大きいくなっている現状です。(2019年5月13日 現在)
ファーストレード証券の口座開設の方法は、図解で分かりやすく、こちらに記してありますので、ぜひご閲覧ください。
8.オプションについて
オプションの買い手は権利をおカネで買った者、売り手はおカネをもらう代わりに売り手の権利を保証する者
オプション取引は、売り手を買い手との間で交わす約束です。なので、オプションの場合、取引が成立した後も売り手と買い手がお互いに権利・義務の関係を保ちつづけます。オプションの場合の権利・義務は、オプションの銘柄会社に対する権利・義務ではまったくなく、オプションの売り手と買い手との間のお互いの権利・義務の関係です。売り手と買い手の約束なのです。
プットオプションの買い手は、おカネを支払って権利を持ちます。その権利とは、あらかじめ決めた期限日に株価があらかじめ決めた価格(権利行使価格)より安かったら、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で株式を売ることが出来る権利です。あらかじめ決めた期限日に株価があらかじめ決めた価格(権利行使価格)より高かったら、権利は消えてなくなります。権利は無限ではありません。
プットオプションの売り手は、買い手からおカネをもらう代わりに、買い手の権利を保証します。つまり、あらかじめ決めた期限日に株価があらかじめ決めた価格(権利行使価格)より安かったら、権利を使って株式を売るプットオプションの買い手の相手となって、その株式をあらかじめ決めた価格で買い取らなければなりません。あらかじめ決めた期限日に株価があらかじめ決めた価格(権利行使価格)より高かったら、
オプションの場合と違って、株式の場合は、取引が成立したら、株式の買い手とその相手となった売り手との間に権利・義務の関係は無く、文字通り無関係となります。株式の買い手が株主として権利・義務の関係を持つ対象は、投資対象であるその株式会社です。株式の買い手にはその株式会社に対する権利(配当を受け取る権利など)・義務(株価が下がっても文句を言わない)が生じます。オプションと株式とでは、権利・義務の関係の当事者が違うのです。 因みに、株式をすでに売った売り手はもはや株主ではないのでその株式会社に対する権利(配当を受け取る権利など)も義務(株価が下がっても文句を言わない)も当然ながらありません。
オプションは、取引成立と同時に生まれ、期限日に消える
プットオプション(コールオプションも同様です)は、取引が成立した日に生まれ、期限日にはすべてが消えてなくなります。
株式はその株式会社が存続している間ずっと存在しつづけ、上場会社の場合は投資家はその間ずっとその株式を取引することができます。一方、オプションはもともと限られた期間だけ存在しているもので、取引され始めてから期限日までの間だけ、投資家はそのオプションを取引することが出来ます。
オプションになじみの浅い方は、こう言われてもイメージが湧きにくいかも知れません。
なので、株式と比べて話を進めてみようと思います。
株式は、会社の設立と同時に生まれ、会社の解散と同時に消える
株式は、株式会社が発行するものです。株式会社が生まれた日に株式が生まれます。それと同時に、株主が生まれます。株式会社が存続している限り株式と株主は存在しつづけます。 そして、その株式と株主は、発行した株式会社がなくなるときに一緒に消えてなくなります。
その株式が存在している間、投資家はその株式を売買できます。上場会社の株式の場合、主に、投資家は市場にある(既に存在する)株式を売ったり買ったり、取引します。株式取引になじみが薄い方でもイメージしやすいと思います。
株式の数は、会社が増やさないと増えないし、会社が減らさないと減らない
株式の数は、会社が増やさない限り増えません。株式の数が増えるのは、まず会社発足の時です。ゼロからある数(発行株数)になります。
また、株式の数は、会社が増資するときに増えます。会社が途中で資本金を増やしたいとき、新たに株式を発行し賛同する投資家に売り、現金を入手します。
会社の意思決定があってはじめて株式の数が変わります。投資家の行動だけでは株式の数は変わりません。
オプションの数は、会社の活動にまったく関係なく、投資家(売り手と買い手)の取引によって、増えたり、減ったりする
オプションの数は、会社の活動とまったく関係なく増えたり減ったりします。
オプションには、取引開始日と期限日があります。取引開始日になるとそのオプションを売買できるようになります。
取引開始日以降初めて売り手と買い手が取引条件で合意した瞬間に、オプションの数はゼロからある数(合意した数)に増えます。
売り手と買い手の間で合意がどんどん出来れば、オプションの数はいくらでも増えることもあり得ます。
また、期限日までの間に、オプションをすでに買って持っている買い手と同一のオプションをすでに売った売り手とが対になって、今度は反対に買い手だった者がそのオプションを売って手放し、売り手だった者がそのオプションを買い戻すと、オプションの数は減ります。
反対に、売り手と買い手が取引条件で合意できなければ、オプションがまったく生まれず、ゼロのまま終わることもあり得ます。
また、オプションの数は、会社の活動にまったく関係なく、期限日にはすべて消えてなくなります。
投資家は、オプション市場で、新しくオプションを生み出しながら取引することも出来ますし、すでにあるオプションを取引することも出きます。