米国市場を使う理由は、群を抜く多様性、日本では買えない業種の魅力、特化したETFの魅力。

目次

1. はじめに

2. 日本株式市場には無い業種の堅実なビジネスモデル

3. 日本株式市場には無いETFがおもしろい

4. まとめ

1. はじめに

米国株式市場は世界で最も発達した株式市場であることは言うまでもありません。別の言い方をすれば、資金調達を目的とした世界中の企業と、資金運用を目的とした投資家、その双方から最も信認されているのが、米国株式市場です。

上場銘柄数も最多を誇っています。米国株式市場には、5300の企業、2200銘柄のETFが上場しています。

米国内に証券口座がなくても、日本のマネックス証券に外国証券口座を開設すれば米国株式市場に投資出来ます。マネックス証券は外国株式の取扱に力を入れています。顧客からの要望を積極的に汲み上げ取扱銘柄数を増やしています。現時点では(2019年3月26日)、マネックス証券から 3046の米国上場個別銘柄と、270の米国上場ETFにアクセス出来ます。実際に投資するに当たって、ほぼ困る事は無いと言える取扱銘柄数だと思います。

このように、日本の証券会社からでもあまり支障無く米国株式市場にアクセス出来るようになりました。この記事では、米国株式市場における日本株式市場とは異なる特徴を私見に基づいたピンポイントで紹介します。米国株式市場を活用する際の参考にしていただければ嬉しく思います。

2. 日本株式市場には無い業種の堅実なビジネスモデル

日本株式市場には無い米国株式市場の特徴のひとつは、巨大でかつ、世界経済にのみならず世界の人々のライフスタイルにまで大きな影響を与える企業が数多く存在することです。いわゆるFAANGs (Facebook, Amazon, Apple, Alphabet(Google)) がその代表格です。このことは良く知られていると思います。

この記事では、日本株式市場には無い別の特徴を紹介します。それは、日本株式市場には無い業種で、私見ではありますが、非常に堅実なビジネスモデルで運営されている業種があるということです。今、実際に私はこの業種の銘柄を保有しています。

「貴金属ロイヤルティ会社、貴金属ストリーミング会社。」まとめて「貴金属ロイヤルティ・ストリーミング会社」とも良く呼ばれます。耳慣れない言葉かもしれません。あくまでも私の意見ですが、これらの会社の株式はまさに今保有すべき銘柄なのではないかと思っています。その理由はさて置き、「貴金属ロイヤルティ・ストリーミング会社」の良さを紹介します。

・フランコ‐ネバダ (ティッカーシンボル:FNV)

まず、「フラン‐ネバダ(ティッカーコード:FNV)」です。貴金属ロイヤルティ会社の代表と言えます。


フランコ‐ネバダ のビジネスの概略を紹介します。 フランコ‐ネバダは、主に金鉱山業界のための“銀行のような役割 ” を果たしています。 本当の銀行は、金鉱山の開発プロジェクトを非常に貸し倒れリスクの高いものと認識しています。なので、本当の銀行は鉱山会社に開発資金を融資しないのが一般的です。本当の銀行の代わりに金鉱山会社に開発資金を出してあげるのが貴金属ロイヤルティ会社・フランコ‐ネバダの仕事です。金鉱山開発プロジェクトのリスクを見極める能力という意味では、フランコ‐ネバダは本当の銀行よりも格段の差で上を行っている、ということです。フランコ‐ネバダは金鉱山開発プロジェクトに開発資金を出してあげるのですが、それと同時に、金鉱山会社がめでたく金の延べ棒の生産に漕ぎ着けた暁には生産した金の一部を予め決めた長数にわたって金鉱山会社から受け取る契約をしています。フランコ‐ネバダは受け取った金を売却し、売上を計上します。金価格が上昇すればそれだけ売上が増大します。

このビジネスモデルは、失敗のリスクが比較的小さく、かつ金価格上昇による潜在的な売上の増大が見込めるという点で、非常に優れています。売上を計上する手段については、金鉱山会社も貴金属ロイヤルティ会社であるフランコ‐ネバダも同じです。両社とも金の売却が売上になります。両社とも金価格 が上昇すればそれだけ売上が増大します。 違う点は金を入手する手段です。金を入手する手段の違いが、両者のビジネスの特性を大きく異なったものにしています。

金鉱山会社は金を、岩の中から取り出すことで入手します。実際に金を掘り出して精錬できるようになるまでには数年を要します。金を売却できるようになるまでは売上はありません。金を掘り出すためには、多くの人を雇います、電源設備を準備します、鉱山で砕いた岩を更に粉砕する設備を準備します、金を一定のレベルまで精錬する設備を準備します、必要な物資や精錬した金を運搬するためのインフラを作ります、などなど、莫大な金額を初期の段階で出費します。また、開発している間ずっと相当のランニングコストが掛かります。鉱山の規模が大きくなれば、それだけ多くの人材や設備が必要になり、ランニングコストも大きくなります。

一方、フランコ‐ネバダは金を、契約通りに受け取ることで入手します。過去に開発資金を出してあげた多数の鉱山会社から今は既に金を契約通りに受け取り続けていて、それを売却して売上を計上しています。多くの人を雇う必要はありません。鉱山に設備を設ける必要もありません。鉱山開発によって生じるランニングコストはありません。鉱山の規模が大きくなっても経費は増えません。フランコ‐ネバダが鉱山の現場で作業することはないからです。

フランコ‐ネバダは確かな資産を持っています。過去に鉱山会社と結んできた多くの契約がまさに金の卵を生むニワトリに、つまり資産になっているのです。

堅実なビジネスモデルだと思いませんか?

・ウィートン‐プレシャス‐メタルズ(ティッカーシンボル:WPM)

こちらは、貴金属ストリーミング会社の代表格です。

ウィートン‐プレシャス‐メタルズのビジネスの概略を紹介します。 ウィートン‐プレシャス‐メタルズは、主に銀を非常に格安に入手し、それを市場価格で売却することをビジネスにしています。なぜ非常に格安で銀を入手できるのか、ここが興味深いところです。鉱山会社にもいろいろあります。主に銅を掘り出して売る会社、主にニッケルを掘り出して売る会社、などなどです。銅鉱山ではまず岩を砕きます。岩には銅が多く含まれていますが、銅以外のいろいろな不純物も含まれていて、銀も少し含まれています。銅以外の不純物を取り除いて、純粋な銅を作っていきます。このような会社の関心事は、銅がどれだけ取れたか、ニッケル鉱山の場合はニッケルがどれだけ取れたか、ということだけなのです。銀には興味がありません。銀は不純物でしかなく、ゴミなのです。ウィートン‐プレシャス‐メタルズ は、銀をゴミとして扱っている鉱山から非常に格安に銀を入手することが出来るのです。

ウィートン‐プレシャス‐メタルズ は銀鉱山で岩を砕くことはしません。鉱山会社との対比については、上述のフランコ‐ネバダと同様になります。

ウィートン‐プレシャス‐メタルズは確かな資産を持っています。過去に銅やニッケルの鉱山会社と結んできた多くの契約がまさに金(銀)の卵を産むニワトリに、つまり資産になっているのです。

こちらも堅実なビジネスモデルだと思いませんか?

・その他の 貴金属ロイヤルティ・ストリーミング会社

他の投資可能な会社を列記します。

ロイヤル・ゴールド(ティッカーシンボル:RGLD)

オシスコ・ゴールド(ティッカーシンボル:OR)

サンドストーム・ゴールド(ティッカーシンボル:SAND)

社名から分かる通り、フランコ‐ネバダに似たビジネスモデルの金ロイヤルティ会社です。

米国株式市場にはこのような会社が上場しています。この多様性を活用することを視野に入れてみることをお勧めします。

3. 日本株式市場には無いETFがおもしろい

ここではETFを取り上げます。米国上場のETFは約2200銘柄あります。米国上場ETFはその特性が非常に多岐にわたっており、日本市場に見られるようにインデックス型(概ね市場全体の動きを捉える)ETFばかり目立つのとは、状況が異なります。

私が最近注目した米国上場ETFは、ティッカーシンボル:SJB のETFです。これは、米国ハイイールドボンドが値下がりすると値上がりするETFです。米国ハイイールドボンドを投資対象としているETFにティッカーシンボル:HYG のETFがありますが、こちらはご存知の方が多いと思います。ティッカーシンボル:SJB のETF は、HYGが値下がりすると値上がりするようにできています。逆にHYGが値上がりするとSJBは値下がりします。

なぜこのSJBに注目したかというと、次のようなニュース(2019年3月23日にYahoo!ニュースに掲載された、Diamond online の記事)に気付いたからです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190322-00197666-diamond-bus_all

仮の思考を巡らせてみます。あくまでも仮の思考です。このニュースから、いつかは分からないがそのうち米国ハイイールドボンドが 値下げりする可能性が無いとは言えない、と仮に考えたとします。この仮説に備えてSJBに投資することを検討してみる、という考え方をとることは可能だと思います。

SJBに限らず、何らかの投資対象に特化しいるETFはいくつもあります。住宅建設に特化したETF、大手石油生産会社が石油を掘り出すのに必要不可欠な物資やサービスを提供する会社に特化したETF、希少金属レアアース関連に特化したETF、などなどです。

何らかのニュース記事を見てピンと来た時、そのニュースのテーマに対応するETFがあれば投資の検討に入ることができます。投資対象を絞っているから投資判断がしやすいのです。

上述のような特徴のあるETFへの投資には、インデックス型ETFへの投資では味わえない楽しさがあると私は思います。自分で判断し、自分で投資をする。自己完結な投資家でありたいと私は考えています。米国市場には、それを実現するための道具となりうる個性豊かで魅力ある上場ETFが多数あるのです。

4. まとめ

・株式で投資する人には米国株式を視野に入れることを強くお勧めしたいです。

・米国市場には、堅実経営をしている貴金属ロイヤルティ・ストリーミング会社が上場しており、堅実な投資家さんには着目することをお勧めします。またこのような株式は日本市場にはありません。

・米国市場には、投資対象を絞り込んだ専門性の高いETFが多くあります。ある特定の分野だけに投資するので、それだけそのETFの特性は分かり易く、機会を捉えるのに役立つと思います。

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