- 2019-5-13
- オプション
要約
オプションの買いは勝ちにくいです。オプション投資をするときに絶対に知っておきたいことは、時間の経過がオプションの価格を確実に押し下げていくという事実です。この事実から導かれる結論は、時間の経過で報われるのはオプション売りであって、買いではない、ということです。オプションの買いは、水の流れに逆らって泳いでいるようなものなのです。
目次
- オプション価格の2大要素
- 本源的価値 とは
- 時間的価値 とは
オプション価格の2大要素
オプション価格は2つの要素で出来ています。
ひとつは、本源的価値といいます。
もうひとつが、時間的価値といいます。
これら二つを足し合わせたものがオプション価格になっています。
本源的価値 とは
前の記事で、オプション取引は、売り手と買い手の約束ですということを紹介しました。オプションの本源的価値は、その約束そのものの価値のことです。まので、オプションとりひきの約束になぞって考えると分かります。
例として株式のプットオプションの場合を考えてみます。
株式のプットオプションは、期限日の株価が権利行使価格より安かったら、その株式を権利行使価格で売ることが出来る権利、です。
この権利を持っていれば、期限日の株価が権利行使価格より安かったら、期限日の株価よりも高い権利行使価格でその株を売ることが出来るのです。
この権利の持ち主(株式のプットオプションの買い手)は、期限日に権利行使価格よりも安い株価でその株式を買い、その買った株価よりも高い権利行使価格でその株を売ることが出来ます。
なので、この権利の持ち主は、期限日の株価と権利行使価格との差額を儲けることができます。これが、プットオプションの本源的価値です。
時間的価値 とは
時間的価値とは、期限日までの日数がまだかなり多く残っている方が、期限日が間近に迫ってきているときよりも、投資家が選べる投資行動の選択肢が多い、という考え方からきていて、選択肢がより多い方がより価値があるという考え方です。
上の本源的価値のときと同様に、例として株式のプットオプションの場合を考えてみます。
株式のプットオプションは、期限日の株価が権利行使価格より安かったら、その株式を権利行使価格で売ることが出来る権利、です。
この権利の持ち主(株式のプットオプションの買い手)は、期限日まで権利を持ち続けることも出来ますし、今すぐこの権利を他の投資家に売り渡すことも出来ますし、権利を売り渡すのを明日にしようと決めることも出来ますし、権利を売り渡すのはあさってにしようと決めることも出来ますし、権利を売り渡すのはちょうど一週間後にしようと決めることも出来ますし、・・・・・、もうちょっと様子を見ながら判断を先送りすることも出来ます。
もし、期限日が二日後だったら、一週間後の選択肢はありませんし、様子を見ることができる時間も限られます。その分、価値が低いという考え方です。
蛇足だとは思いますが、時間的価値の考え方として、他の例を紹介します。
旅行に行くときにとる航空券の価格で考えてみます。
旅行代理店でお手頃な値段のパックツアーを予約すると、旅行代店の方から旅行の日程は変更できませんと言われます。格安航空券は変更できないのが普通ですで。格安航空券の対局にあるのはオープンチケットです。オープンチケットはいつ乗ってもいい、とてつもなく選択肢が多いチケットです。その値段は買う気にならないぐらい高いです。
時間的価値は、本源的価値のように簡単には数字で表せませんが、このように選択肢には価値があるという考え方から成り立っています。
なので、オプションの時間的価値は、期限日が迫ってくるに連れて下がっていき、期限日にゼロになります。